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経営事項審査とは?建設業者が知っておきたい制度の概要と申請の流れ

2026年10月12日

こんにちは、行政書士法人きらめき事務所の柴田です。

建設業者が公共工事を発注者から直接請け負おうとする場合、「経営事項審査(経審)」を受ける必要があります。

 

ちょうど今、きらめき事務所では、来月11月から12月にかけて受付がされる、茨城県の建設工事入札参加資格の申請をにらんで、特に5月決算と6月決算の建設会社のお客さまを中心に、前回の決算を基にした経審と、直近の決算を基にした経審の、いずれの結果を建設工事入札参加資格の申請に使うかについて、シミュレーションを行ってお客さまと相談しながら、経審の準備を進めているところです。

 

経営事項審査は、建設業者の経営状況や経営規模、技術力などを客観的に評価する制度で、公共工事の入札に参加するための重要な手続きです。

今回は、経営事項審査の概要や審査項目、申請の流れについて解説します。

 

1.経営事項審査とは

経営事項審査とは、建設業法に基づき、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者について、その経営に関する客観的事項を審査する制度です。

公共工事の入札に参加するためには、原則として、発注者が定める入札参加資格の審査を受ける必要があります。その際、建設業者の経営状況や技術力などを客観的に評価するために用いられるのが、経営事項審査の結果です。

 

経営事項審査では、建設業者の経営規模や経営状況、技術力、社会性などが数値化され、総合評定値(P点)が算出されます。

この総合評定値は、国や地方公共団体などが入札参加資格の格付けや審査を行う際の重要な評価資料となります。

なお、経営事項審査を受けること自体が入札への参加を保証するものではありません。実際に公共工事の入札に参加するためには、各発注機関が実施する入札参加資格審査も別途受ける必要があります。

 

きらめき事務所では、前述したい茨城県の建設工事入札参加資格だけでなく、国、都道府県、市町村、諸団体の建設工事入札参加資格の申請をにらんで、それぞれの会社にとって最良の結果となる方策を検討しながら、お客さまと経審手続きを進めています。

 

2.経営事項審査の対象となる建設業者

経営事項審査は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が対象となります。

 

公共工事を元請として受注することを希望する場合、建設業法に基づく経営事項審査を受ける必要があります。

一方、公共工事を下請として施工する場合や、民間工事のみを請け負う場合には、原則として経営事項審査を受ける義務はありません。

 

ただし、将来的に公共工事の元請受注を目指す場合には、あらかじめ経営事項審査の仕組みを理解し、必要な準備を進めておくことが大切です。

 

3.経営事項審査の審査項目

経営事項審査では、建設業者の経営に関する客観的事項を、主に次の5つの項目に分けて評価します。

 

① 経営規模(X)

経営規模は、建設業者の工事施工能力や経営規模を評価する項目です。

 

主に、次の2つの要素で構成されています。

 

X1(完成工事高):審査対象となる建設工事の完成工事高を評価します。

X2(自己資本額・平均利益額):自己資本額や平均利益額などから、企業の経営規模を評価します。

 

完成工事高については、業種ごとに評価されるため、どの業種でどれだけの工事実績があるかが重要となります。

 

② 経営状況(Y)

経営状況は、建設業者の財務内容を評価する項目です。

 

決算書の数値をもとに、収益性や財務健全性、資金繰りなどに関する指標を分析し、経営状況分析機関によって評価されます。

経営状況分析では、負債や利益、営業キャッシュフローなどの財務指標が用いられます。

 

経営状況の評価結果は、経営状況分析評点(Y点)として算出され、経営事項審査の総合評定値に反映されます。

 

③ 技術力(Z)

技術力は、建設業者が有する技術者や施工実績などを評価する項目です。

 

主に、次のような内容が審査されます。

 

建設業に従事する技術職員の人数や資格

業種ごとの元請完成工事高

 

技術職員については、保有する資格や業種との関係などに応じて評価されます。

そのため、技術者の資格取得や適切な配置、技術職員の状況を正確に把握しておくことが重要です。

 

技術者一人について2業種のみを選択することになるため、特に申請業種が多い建設会社の場合、それぞれの技術者をどの業種で申請するかについては、業種毎のP点をにらみながら慎重に検討していくことになります。

 

④ その他の審査項目(社会性等)(W)

その他の審査項目では、建設業者の社会性や企業としての取組状況などを評価します。

 

主な審査項目には、次のようなものがあります。

 

建設業退職金共済制度への加入状況

退職一時金制度や企業年金制度の導入状況

法令遵守の状況

建設業の営業年数

防災活動への貢献状況

建設機械の保有状況

ISO認証の取得状況

若年技術者の育成や確保に関する取組知識及び技術又は技能の向上に関する 取組の状況

これらの項目は、企業の社会的な責任や建設業の持続的な発展に向けた取組を評価するものです。

 

なお、審査項目や評価方法は制度改正により変更されることがあるため、申請時には最新の手引きを確認する必要があります。

 

⑤ 総合評定値(P)

経営事項審査では、上記の経営規模(X)、経営状況(Y)、技術力(Z)、その他の審査項目(W)の評価をもとに、申請業種毎に、総合評定値(P点)が算出されます。

 

総合評定値は、各項目の評点に所定の係数を乗じて合算したものであり、建設業者の経営状況や施工能力などを総合的に評価する指標です。

この総合評定値は、公共工事の入札参加資格審査において重要な資料として利用されます。

 

4.経営事項審査の申請の流れ

経営事項審査を受けるためには、決算終了後の届出や経営状況分析など、いくつかの手続きを順番に進める必要があります。

一般的な申請の流れは、次のとおりです。

 

① 決算変更届の提出

建設業者は、毎事業年度終了後、建設業法に基づき、決算変更届を許可行政庁に提出する必要があります。

決算変更届には、工事経歴書や財務諸表、完成工事高などの書類を添付します。

 

経営事項審査を受ける場合には、経営事項審査の申請に必要となる完成工事高や財務内容などを正確に整理しておくことが大切です。

 

② 経営状況分析の申請

次に、国土交通大臣の登録を受けた経営状況分析機関に対して、経営状況分析を申請します。

経営状況分析では、財務諸表などをもとに企業の財務内容が評価され、経営状況分析結果通知書が発行されます。

 

この結果通知書は、経営事項審査の申請時に必要となるため、事前に取得しておく必要があります。

 

③ 経営規模等評価の申請・総合評定値の請求

経営状況分析の結果を取得した後、許可行政庁に対して、経営規模等評価の申請と総合評定値の請求を行います。

茨城県知事許可の建設業者の場合は、茨城県土木部監理課建設業担当が審査を行います。

 

申請にあたっては、申請書や経営状況分析結果通知書、工事実績や技術職員の資格を証明する書類など、必要な書類を提出します。

 

きらめき事務所では、電子申請を利用しており、郵送申請より結果通知の日程が早くなるのがメリットになっています。

 

④ 経営事項審査結果通知書の受領

審査が完了すると、経営事項審査結果通知書が発行されます。

結果通知書には、各審査項目の評点や、審査を受けた業種ごとの総合評定値(P点)などが記載されています。

 

この結果通知書をもとに、公共工事の入札参加資格審査を申請することになります。

 

5.経営事項審査の有効期間

経営事項審査の結果には有効期間があり、審査基準日からではなく、審査基準日となる決算日から1年7か月間とされています。

 

公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、公共工事の契約締結日に有効な経営事項審査の結果を有していなければなりません。

そのため、毎年継続して公共工事を受注することを希望する場合には、決算終了後、速やかに必要な手続きを進め、経営事項審査の結果が途切れないようにすることが重要です。

 

決算変更届の提出や経営状況分析の申請、経営事項審査の申請に時間を要することもあるため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

 

6.経営事項審査を受ける際の注意点

経営事項審査を受ける際には、いくつかの注意点があります。

 

まず、審査に使用する完成工事高や財務諸表、技術職員の資格などについて、正確な資料を準備する必要があります。

 

また、経営事項審査の申請時には、申請内容を裏付ける資料の提出や提示が求められる場合があります。書類の不備や記載内容の誤りがあると、補正などにより審査に時間がかかることもあるため、事前の確認が重要です。

 

さらに、経営事項審査の制度や申請方法は改正されることがあります。茨城県土木部監理課建設業担当のホームページには、最新の申請の手引きや様式、審査の実施体制などが掲載されていますので、申請前には必ず最新の情報を確認しましょう。

 

なお、事実と異なる内容で申請したり、虚偽の資料を提出したりすることは、行政処分などにつながるおそれがあります。申請内容については、十分に確認したうえで手続きを行うことが大切です。

 

7.まとめ

経営事項審査は、公共工事を元請として受注しようとする建設業者にとって、欠かすことのできない重要な手続きです。

経営規模や経営状況、技術力、社会性などが客観的に評価され、その結果は公共工事の入札参加資格審査に活用されます。

 

また、経営事項審査には有効期間があるため、継続して公共工事の受注を目指す場合には、毎年計画的に申請を行う必要があります。

経営事項審査の申請には、決算変更届や経営状況分析など、複数の手続きが関係するため、早めに準備を進めることが大切です。

 

行政書士法人きらめき事務所では、経営事項審査について、申請手続の代行をお引き受けしています。お気軽にご相談ください。

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